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東京には無数のアートスポットが存在する。多くの美術館の建設ラッシュに沸いたバブル期の記憶もそれほど遠いものではないし(そして、長引く不況に苦しむ昨今でも、東京オペラシティアートギャラリーの開館やNTTインターコミュニケーション・センターのリニューアルなど、明るい話題がないわけではないのだ)、また新宿アイランドやファーレ立川のような大規模なパブリックアートも、多くの都民にとって馴染み深いものだろう。その一方では、銀座界隈を中心に営まれている貸画廊と呼ばれる日本独自のレンタル・ギャラリーも健在で、東京だけでもその数はおそらく数百に達する。
これだけ数が多くては、一般のアートファンはもとより、可能な限り多くのアート作品に触れることを職業としているジャーナリストや評論家でさえも、その状況の逐一をフォローすることはおよそ不可能であろう。そこで思い切り勝手に、網羅的なアートガイドやギャラリーマップを作るのではなく、筆者がその活動に高い関心を寄せている美術館・ギャラリーを重点的に取り上げることにした。もとより、新聞社やテレビ局がバックアップするような大規模な展覧会を開催する美術館に関しては、既に無数の情報が流通しているのだから、敢えて取り上げるには及ぶまい。
地味で小規模ではあるが、しかしアートシーンに強いインパクトを与えているギャラリーを選択することが、ここで筆者に与えられた仕事であると弁えているからである。

対照的に、多くの企画画廊で賑わっている代表的なエリアと言えば、渋谷・表参道・青山の一帯であろう。バブル期には東高現代美術館や馬里邑美術館などの華やかな現代美術展で賑わったこの街には、当時の喧騒が失われた今も、注目度の高い若手作家を前面に押し出す方針を掲げる多くのギャラリーが点在している。

このエリアの持つ特有な空気は、新進作家を重点的に取り上げるギャラリー・シマダ、ミヅマ・アート・ギャラリー、Gallery Side2、レントゲンクンストラウムなどの企画展を通じて体感することができるだろう。また、このエリアを語るに際して忘れてならないのが、最先端の海外アートの動向をいち早く紹介する、情報発信の拠点としての機能である。そもそも筆者自身が現代美術に強い関心を抱くようになったきっかけの一つが、今は美術館として巨大化してしまったが
80年代にこの地でヨゼフ・ボイスやナム=ジュン・パイクのパフォーマンスを精力的に紹介していたギャルリー・ワタリの活動であったし、そうした情報拠点としての機能は、今でもNADiffのような洋書店、スパイラルのようなオルタナティヴ・スペースへと受け継がれている。
       
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